貞子の呪いのビデオなみ

貞子の呪いのビデオなみ


先日友人が
「これすッげーエロいよ」
と言って僕にエロビデオをくれました。
普段そんな豪気なことをしないやつだったので怪しいと思いましたが、
予想は当たり前のように当たりました。

タイトルはいまいちよく覚えていませんが
「女柔道家対レイプ魔」
みたいな感じでした。
そうです。
女が5人の男と柔道の試合をし、一本取ったら賞金。
でも一本取る間に裸にされたら大勢でレイプという
まあ身もふたもないような内容でした。

僕はレイプものは一切ダメなので、
それだけでもうかなりアウトな内容でしたが、
女の子もなんと言うかまあ柔ちゃん級だったので、興味も半減でした。
何がヤワラちゃん級かって?
ええ、あれですよ。
そうです。
そっちももちろんそうなんですけどね、
実力もなんと柔ちゃん級なんです。
だから強い強い。
襲い掛かる男を次々に投げ飛ばしておりました。
4人目まではもうヤワラちゃんの一人舞台。
ちぎっては投げちっぎては投げ、
「あれ、これ柔道のビデオかな」
と僕に思わせるぐらいの内容でした。
ちなみにこの間のピンクシーンは
胸チラがわずかにある程度でした。
しかしそんな申し訳程度の胸チラがあっても
なにせヤワラちゃんのため、おちんちんはなんの反応も示しません。

そして5人目、かなり強そうな男が出てきました。
やってくれそうです。
別にやってくれなくてもいいんですけど・・・
さあ男も気合十分、
ヤワラちゃんもあと一人で賞金がっぽりってことでやる気満々。
気合の入ったいい声でてます。

てか、これホントエロビデオ?

おっと男がヤワラちゃんを押し倒した!
いくのか!!
柔道着を脱がそうとしている。
柔ちゃんは脱がされまいと頑張って抵抗している!
どうするやわらちゃん、まずいぞやわらちゃん。
とうとうエロシーンが始めってしまうのか!?
それはそれで僕もまずいぞヤワラちゃん。
と思った瞬間、ヤワラちゃん苦悶の表情。

なんだなんだ。
画面を食い入るように見る僕。
いったいに何がおきたんだ!?

そうです。
ヤワラちゃんは無理やり服を脱がされそうになったため、
肩を脱臼してしまったのです。
もちろん救急車です。
ええ、運ばれていきましたよ。
柔道着の姿のまま担架ですよ。
なんというか壮絶ですよ。
壮絶すぎますよ。
ほんとにこれエロビデオなんですか?

画面越しからも分かるその場のさめた空気。
あからさまに下がる周囲のテンション。
重い沈黙。
終わるビデオ。

そして部屋で一人、
ズボンを下ろし用意していたティッシュに目を落とす僕。

「孤独」

僕は人生において大切にしなければいけない時間と言うものを、
明らかに無駄に使ってしまった。
少しだけこのビデオをくれた友人に敵意と殺意を抱いた。

でもこのビデオをくれた時の彼の気持ちは、
今の僕には痛いほど分かる。
このつらさ、むなしさ、孤独感を誰かに伝えたかったのだ。
この気持ちを感じられる人というのは、
この「女柔道家対レイプ魔」を見た人だけだ。
なんというかそういったつらさとかむなしさを共有していくこと。
実を言うと僕はこういったことって言うのも、
たいせつな友情の中の一つなんじゃないかと思うんです。
だから僕はこのビデオを明日、違う友達に「すっげーエロイよ」
と言ってプレゼントするつもりです。
そしてまたそいつとも、つらい気持ちを共有し合いたいと思います。

そうまさに貞子の呪いのビデオのように。


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